首の痛みには、いくつかの異なる疾患や原因があります。 むち打ち症、ヘルニアなどの疾患や、姿勢や先天的な骨格の並列が関係するストレートネックやスマホ首まで、また、単純な原因だと枕の不一致もあります。 こういった異なる痛みでも、負担のかかる箇所は共通している事がよくあります。 頚椎1、2番が硬くなると、首の動きが全体的に悪くなりますが、その時の不具合は、左右どちらか片方の関節に拘縮や引っ掛かりが起きています。 全体的には右利きが多いので、引っ掛かりは右上部頚椎にあることが多く、その部位の動きを改善してあげると、本来の可動域が回復します。しかし、この上部頚椎は腰仙関節にも影響するため、横座りをする女性に多い腰痛では、首の歪みが症状を悪化させている事がよくあります。もちろん、逆もしかりで、腰痛持ちは首の痛みが出やすいともいえるのです。 では、首の痛みは、上部頚椎と腰椎だけ調整すればいいのかというと、それも間違いです。 首は胸椎と連動し、胸椎は肩の動きにも影響します。 肩が硬くなると、腕や手にも影響するため、繋がり全体を検査しなければいけないからです。 仮に、一部分の調整で痛みが減少したとしても、それが大元とは限りません。本当の原因を見つけ出して取り除かない限り、根本改善にはならないのです。 …
「実際の症例」の記事一覧
丸まり腰から反り腰に変化した症例
骨格ケアセンターの渡邊英司です。 今回の症例は、骨盤後傾から骨盤前傾への姿勢変化についてです。 小学生の頃から施術に通われていて、現在も部活でバスケットをしている子が、久しぶりに腰痛で来られました。 動作検査をすると、前屈で痛みは出ませんが、後屈動作に痛みが出て、側屈と回旋動作は伸びた側に痛みが出ました。 症状が筋肉痛に思えたので話を聞くと、部活の部員が少ないために、痛くても練習が休めないとの事でした。 筋肉はトレーニングによる損傷と回復を繰り返して鍛えられますが、回復しないうちに負荷がかかると損傷が回復せずに炎症することもあります。また、今回のケースは不良姿勢による影響もありました。 不良姿勢での運動は、通常の姿勢よりも無理な体勢を強いられるからです。初回の記録をみると骨盤後傾と記されているのに、今回は骨盤が前傾に変化していました。姿勢の変化は年代や妊娠で変わる事がありますが、今回のケースは姿勢変化の起きる時期と不良姿勢が重なりハイパーモビリティー(動き過ぎ)になってしまったのではないかと思えます。 ハイパーモビリティーになると、関節が不安定になります。骨盤が前傾する人は腰椎すべり症、分離症、脊柱管狭窄症に繋がる事も考えられます。また、骨盤が後傾する人は椎間板に負担がかかり、椎間板ヘルニアを発症することもあります。これらを防ぐためにも、全身の柔軟性とスタビリティーを高める必要があるのです。 …
諦めていたスポーツへの復帰
骨格ケアセンターの渡邊英司です。 相談者は、中年期になってからは、腰痛、股関節痛、膝痛が出るようになったそうです。 痛みは、年に数回という頻度で、かわるがわる出るとの事でした。 痛みの出る原因は、特に心当りがなく、しいて言えば、子供の頃からバスケットをしていたくらいとの事でした。 その当時は、時々、腰痛や股関節痛、膝痛があったそうですが、そのためにケアする習慣はなかったようです。 当院に来た時は、腰痛が酷くなったと言ってましたが、ぎっくり腰を発症した感じでした。 ぎっくり腰は負担の蓄積です。ぎっくり腰からヘルニアになる人も少なくありません。 そういった意味では、知らないうちに蓄積した負担が、耐え切れなくなってきた結果だと思います。 こういうケースは、負担を取除かない限り、ぎっくり腰を何度も繰り返します。 本人は、これからスポーツを再開したいと言う希望があったので、根本改善に取り組む事になりました。 ぎっくり腰の回復には、約一週間かかりましたが、その後からは運動療法で筋力左右差を取り除く施術をしました。 予想したより、関節の弾力回復が早かったので、運動療法の負荷を高めてトレーニング的な施術まで持って行けたので、今はスポーツを再開しているようです。 …
脊柱管狭窄症
骨格ケアセンターの渡邊英司です。 60代女性、変形性脊柱管狭窄症による腰痛の症例。 腰痛が出たのは10年前で、検査では変形性脊柱管狭窄症と診断されたそうです。 当時は、手術レベルではなかったため、リハビリをしながら経過観察中との事でした。 現在は、それから10年が経過しているので、かなり進行している感じでした。 この女性は、日常でのストレスが強いらしく、首肩の緊張で指先まで力が抜けなくなっています。 身体の状態は、特に胸椎と仙腸関節の動きが悪く、股関節の動きが制限されているため膝関節が不安定になっていました。 膝の検査を勧めた所、変形性膝関節症が発見されました。 胸椎の動きが悪いと、股関節に負担がかかり、股関節の動きが悪いと、膝に負担がかかります。 こういった二次的な障害が連鎖して負担が蓄積して脊柱管狭窄症や、変形性膝関節症を発症したと考えられます。 施術では、仙腸関節と股関節を最後に調整した結果、仙腸関節周囲のしこりが取り除かれ、僅かしか動かせなかった回旋動作が正常範囲まで広がりました。 脊柱管狭窄症は、加齢とともに進行するので、定期的に施術を続けていただいています。 …
たかが捻挫されど捻挫
骨格ケアセンターの渡邊英司です。 足をくじいたり、足を踏み外すと言った経験は誰でもあると思います。 そういった時に発症しやすいのが足首の捻挫です。 これは、ゴルフのプレイ中に左足首を捻挫した人の症例です。 足首の捻挫は内反捻挫が圧倒的に多く、外反捻挫は滅多に起きません。 これは、関節の構造的な問題があるからです。 足は、常に体重がかかる部位なので、痛みが三カ月くらい続く事は、珍しくはありませんが、今回は、仕事でゴルフをするので、通常より回復が遅くなっていました。 それどころか、足首の可動性が徐々に狭くなり、フォームも、どんどん崩れてしまったのです。 動作検査をすると、全体的な柔軟性はありますが、全体に対して股関節の硬さが目立ちました。 ゴルフスイングでの回旋動作は、主に股関節と胸椎が行いますが、股関節の動きが悪ければ、胸椎が過剰に動く事になります。 その時、壁になる左足首にも過度なストレスが加わります。 この状態が続けば、二次的に胸椎の動きも悪くなり、代償する腰椎や足首には、さらに負担がかかります。 痛みがとれない理由は、休めない事以外にも、負担のかけながら動いていたためなのです。 改善には、胸椎の機能障害を取り除いて、足首の支持性を高める事が不可欠です。 また、同時に股関節の柔軟性を高めるストレッチを普段からやる事も重要になります。 …
首の下部から肩にかけての痛み
骨格ケアセンターの渡邊英司です。 首から肩にかけての、コリと痛みが日増しに強くなってきた方の症例です。 相談者は、パソコン作業が主の仕事をされる方なのです。 この方は、首を左に傾けるクセがあり、肩甲胸郭関節の動きが悪くなっていました。 また、反り腰で、腰仙関節に引っかかりがありました。 症状が強くなった原因は、何かしらの要因で背中の緊張が高まったためと考えられます。 検査では、肩甲上腕関節の動きと頚椎の回旋動作に制限が起きていました。 身体が緊張している人の多くが、上部頚椎周囲の筋紡錘が緊張している事が多くあります。 人によっては、触れるだけで、さらに緊張が高まってしまう事がありますが、今回は、そういった兆候は見られなかったので、最後に頚椎の調整をする事で、緊張が緩和され柔軟性が回復しました。 …
スポーツが上達しない原因
骨格ケアセンターの渡邊英司です。 スポーツが上達しない子供の事での相談がありました。 親が見る限りでは、運動神経はそれなりに良いとの事です。 小さい時から、色々なスポーツをやらせてきて、中学生に入ってからゴルフを始めたそうです。 スポーツの上達を妨げる原因はいくつかあります。 例えば、好きでもないのに、親に言われて嫌々しているというのは論外です。 また、センスのある人と比較するのも、どうかと思います。 これらを除いて、今の自分自身を見ていく事が大切です。 人の事ばかり見て、自分の事をわかっていない事がよくあります。 そのため、対抗意識で人の練習を真似て、自分の得意な事を伸ばす事や、苦手な事を補う努力をしていない事があります。 努力をしても上達しないのが事実であるなら、そのまま練習を続けても故障の原因になります。 まずは、身体に負担のかかる箇所を見つけて、動作改善が必要です。 身体の動きには、基本動作があります。 それは、前後屈、左右側屈、左右回旋といった単純な動きです。 その中に、一つでも動きの悪いものがあれば、動作に影響して、思ったように体が動きません。 言い方を換えると、その制限のために、運動機能が妨げられてしまうのです。 それが見つかれば、運動の強化の仕方や、ストレッチする箇所など、その人に欠けている箇所を補う事が出来ます。 例えば、ゴルフでクラブを振る回旋動作は、主に胸椎と股関節が行います。 仮に、股関節の動きが悪ければ、身体を捻じる回旋動作は、胸椎と腕でやる事になるため、ダイナミックな動きは出来なくなります。 その場合は、股関節の柔軟性を高めて、膝の使い方を変えるだけで、フォーム改善が出来ます。 どのスポーツにも共通するのは、体幹の動きが悪いと、体全体が連動しないため、本来の身体機能を最大限に発揮できなくなるのです。 …
寝違え
骨格ケアセンターの渡邊英司です。 朝起きた時に首に違和感があり、時間の経過とともに痛みが強くなった症例です。 時間と共に痛みが強くなると、寝違えと思わない人もいます。 寝違えやギックリ腰の多くは、名前こそ違いますが、どちらも筋膜の損傷というケースが多く見られます。 寝起きに起きている事が多いから、寝違えなのですが、必ず寝起きに発症するとは限りません。 寝違えが起こりやすい箇所は、胸椎一番と第一肋骨を繋ぐ関節周囲に起きる事が多く、痛みが強くなると、首を支えるだけで激痛が走ります。 通常は、一週間程で回復しますが、発症翌日あたりが、痛みのピークになります。 発症後は、患部を冷やして、動かさない事が良いのですが、ピークを過ぎたら、温めて血液循環がよくしていった方が回復しやすくなります。 但し、三日程を過ぎても炎症が残っている事がありますので、判断の目安として、入浴後、痛みが強くなる場合は、引き続き冷やす。 痛みが和らぐ場合は温めたほうが良いです。 寝違えやギックリ腰の原因の多くは、全身疲労によるものです。 特に、脇腹が硬くなっていると、肩や首の不具合が出やすくなるので、広背筋や肋間筋をストレッチさせて、脊椎の側屈を促してあげると、腕の動きが楽になり、連動する首も楽になります。 …
肘の痛み
実際の症例 60代男性 数か月前から、肘の痛みが徐々に強くなり来院した方の症例です。 症状は左肘腕橈関節付近の痛みでした。何かをしたから痛みが生じたという記憶はないとの事でした。 肘に痛みが生じる原因で、心当りがないケースの多くは日常姿勢が原因です。 例えば、パソコン操作で肘を曲げたままの姿勢であったり、自身の腕を枕代わりにするなどです。 カウンセリングでは、常に腕枕をしている事がわかりました。 また、以前は右肘が痛んだむ事もあったらしく、原因は、ほぼ腕枕だろうと推測できました。 しかし、思い込みは判断を見誤る原因になるので、あくまでも選択肢の一つと考えるべきです。 肘関節の主な機能は屈曲伸展です。 痛みが親指側か小指側かで、アプローチの方法は異なりますが、基本的には腕尺関節の遊びを回復させる事です。 また、特に重要なのは回内回外の動きに左右差が生じていないかです。 これらを詳細に検査していくと問題が見えてきます。 しかし、肘の不具合が肘だけの問題とは限りません。 肩や手首の動きが悪くて、肘に負担がかかる事はよくあるからです。 痛みや違和感は、様々な要因が複雑にからみあって起こります。 それらの要因を、一つ一つ潰していく事で、本当の原因に辿り着くのです。 今回のケースは、推測通りのアプローチで変化が見えたので、同じ施術を複数回繰り返していけば効果が現れるでしょう! …
側弯症は治る?
脊椎は、体の側面から見ると前後にカーブしているが、これは生理的彎曲という正常な状態である。 正常な状態であれば正面あるいは背面から見ると脊椎はまっすぐに伸びている。しかし、横方向に彎曲したり、脊椎がねじれている場合があり、これらを脊椎側彎症または側彎症と呼ぶ。脊椎がねじれながら横に彎曲する側彎症、後方に凸に曲がる後彎、側彎と後彎が合併した後側彎症の3つに分けられる。 痛みを伴うことは稀なため初期における発見は難しく、ある程度成長してしまってから気がつく場合が多い。肩やウェストの高さが左右で違うなどの外見上の問題の他、高度の彎曲になると、腰背部痛に加え胸の圧迫と変形による呼吸器障害・循環器障害など内臓にも影響を及ぼし、皮下脂肪型肥満の女児にも発生する。日本では、乳幼児や学校の健康診断で脊柱検査が行われており、昭和55年年頃よりモアレ検査による検診が普及し、早期発見が可能になった。【ウィキペディアフリー百科事典より抜粋】 こんにちは、骨格ケアセンターの渡邊英司です。 側弯症で曲がった骨は、いったん進行すると元には戻らないと医学書には書いてあります。 だいぶ前になりますが、側弯症の手術のDVDを見た事があり、ほんとうに大変な手術だと思いました。 成長途中の子供が手術をする場合、背骨に取付ける金属棒のサイズが合わなくなるたびに、手術をしなければいけないからです。 側弯症には、4つのタイプがあります。 一般的なのは、突発性側弯症といって全体の80%程を占めます。 これは主に小中学生の女子に多いという特徴があるので、急激に背が伸びる時期は、子供の肩や骨盤の高さの違いを注意して見ておく必要があります。 小中学生でモアレ検査に引っかかり、来院する子供が毎年いますが、再検査の前に施術をしたら大丈夫だったという報告を殆どの方から受けています。 これらは機能性側弯症といって、筋力左右差などが原因で一時的に生じた体の歪みで、脊椎の異常ではなかったのだと思います。 但し、機能性側弯症も、ほおっておいて自然に戻るものではないので、早急に整える必要がある事に変わりません。 次に、成人してから突発性側弯症が見つかったケースですが、背中、仙骨、足関節、手首の痛みで来院しました。 側弯症もかなり進行していて、そこに機能性側弯症が加わる事で症状を悪化させていました。 この方の年齢では、モアレ検査がない時代なので、特に痛みがなかったために側弯症に気づかずにいたようです。 しかし、前屈動作をしてもらうと、背中が大きくS字を描いて、片方の背中はコブのように大きく飛び出していました。 週1回平均で施術を行なった結果、1番つらい仙骨の痛みは、3回目でなくなりました。 施術前後の歪みの写真を比較してみると、術後は背筋が伸びて側弯の仕方も緩くなっている事が確認できました。 次に、こんな事例もあります。これは側弯症ではありませんが、腰痛で、整形外科に受診した主婦の方が、医師に腰椎が歪んでると言われたそうです。 その人は、テレビCMで有名なライ〇〇〇に通いたかったのですが、医師に、歪みが酷いから筋トレなんてとんでもないと言われたそうです。 それでも諦めきれなくて、今度は直接ライ〇〇〇に行ったそうですが、医師に禁止と言われている人を入会させるわけにはいかないと断られたそうです。 次に彼女がとった行動は骨格矯正でした。 私の所に来た時は、ライ〇〇〇に入りたいけど、医師に腰椎が歪んでいるから運動禁止としか言いませんでした。後から聞いてわかったのですが、うちで施術を受けた直後に再びレントゲンを撮りなおしたそうです。 そしたら、これなら大丈夫と言って、医師に証明になるものを書いてもらい、無事にライ〇〇〇に入会しました。 正直なところ、そこまでするとは思ってもいなかったので驚きましたが、人の思いの凄さを感じました。 そして、彼女は20キロ近い減量に成功して、3ヵ月後に見違えるほど変わった姿を見せに来てくれました。 突発性側弯症がどこまで改善するかは不明ですが、機能性側弯症のように、誰にでも起きる歪みは改善するという事なのです! …