今回は、私の目指す手技開発の舞台裏についてのお話しです。

ここ数年で治療院の数はコンビニなみに増えていますが、数が増えた割には技術力の向上は頭打ちしている気がします。
その要因の一つは、過当競争に便乗したマーケティングに力を入れる治療院が増えるとともに、技術面が簡素化したからではないでしょうか。

昔から、腕のいい施術家ほど集客が苦手で、集客の上手い施術家は腕より口が達者といわれてましたが、その近代化した形が今なのかも知れません。

私も集客は苦手ですが、患者さんが新たな患者さんを紹介してくれるために、広告費を殆ど使わずにいられるので、その分は倍のメリットにしてお返ししたいという想いがあります。

それには、一回の施術で効果が出尽くすのではなく、毎回、新たな効果を与えられるように技術を磨き続ける事が、私の目指す手技です。

中国の孔子の言葉で❝人に魚を与えれば一日食べることが出来る。だが、魚釣りを教えれば一生食べさせることが出来る❞というのがあります。

誰もが簡単に出来る施術では長続きしない。しかし、どんな症状にも対応できるように、技術を磨き続けていれば一生衰退しないと考えています。

第16代アメリカ大統領のリンカーンは❝もし私が木を切り倒すのに6時間与えられたなら、最初の4時間を釜を研ぐことに費やすだろう❞という言葉を残しました。

施術家は経験を積んだ方が上手くなるといわれますが、一つ間違えると、慣れが雑な技術へと上書きしてしまう事があります。学んできた技術を無駄にしないためには、慣れるだけでなく、常に基本を再確認しながら修正して腕を磨く事が大事だと思います。



上の画像は、趣味の彫刻で自分の手を忠実に再現してみました。木には芽があるので削る方向があり、刀にも向きがあるため削り方には工夫が必要になります。また、刀の切れ味が悪いと、無駄な力が入り過ぎて、思うように削れなかったり怪我もしやすくなります。
逆に、刀を常に研いでおき、切れ味を維持していれば、無駄な力が入らず作業もはかどります。これは、リンカーンの言葉にも通じるし手技療法にも当てはまりませんか。

話を戻しますが、新たな手技開発には研究テーマが必要ですが、施術をしていれば、テーマに困る事はありません。

例えば、似たような症状をもつ患者は数多くいますが、同じ手技が通用するのは、よくて7割、残りの3割は別の要因があるため通用しない事があります。

その3割の人をどうやって改善するかが、新たなテーマになります。

私の手技のベースは関節へのアプローチですが、通用しない症状は関節以外を疑います。仮に、関節の調整で可動域が改善しなければ神経の問題かも知れません。神経は関節の圧迫以外に、筋肉のこりや筋膜の滑りが妨げられても起きる事があるからです。しかし、異なる複数の手技を増やしてしまうと、時間がかかるだけで効率がよくありません。同じ流れの中で、関節、筋膜、神経などを同時に調整する方法、それが現在、研究し続けている手技療法になります。