「楽だから」と背中を丸めた姿勢を続けていると、知らないうちに猫背になってしまいます。猫背が慢性化すると、背中の筋肉(脊柱起立筋)は常に伸ばされた状態になり、肩が前に巻き込まれて「巻き肩」へとつながります。
巻き肩になると、鎖骨や肩周辺の可動性が低下し、大胸筋や僧帽筋が硬くなっていきます。その結果、首や腰を反らすときに痛みが出たり、腕を上げる際の不快感・違和感など、さまざまな症状につながります。
このような動きの制限が続くと、やがて「脊柱管狭窄症」などの疾患を引き起こす可能性もあります。実際、狭窄症の方の多くは、肩が内巻きになっているのが特徴的です。
猫背は、ある日突然なるものではありません。日常の姿勢の積み重ねによって、少しずつ体に負担がかかり、やがて痛みや不調となって現れます。
例えば、首を左右に回してみてください。右に向きづらい場合、左の鎖骨が下がっている可能性があります。このような状態で無理に動かし続けると、関節や筋肉に偏った負荷がかかり続けてしまうのです。
巻き肩を改善するためには、大胸筋のストレッチや鎖骨・肩関節の調整だけでなく、背骨の可動性を整え、姿勢を支える筋力(特に脊柱起立筋)も回復させる必要があります。これらは一朝一夕にできるものではなく、特に年齢を重ねるほど、計画的なケアが重要です。
また、猫背に似た姿勢で「円背(えんぱい)」と呼ばれるものがあります。円背は、高齢者に多く見られるもので、骨粗しょう症などによる背骨の圧迫骨折により、骨の変形がある状態です。
猫背と円背は混同されがちですが、改善方法は異なります。猫背は筋肉や姿勢の調整によって改善が期待できますが、円背は変形を伴っているため、根本改善よりも「痛みの緩和と機能維持」が重要になります。弾力性を取り戻すことで、負担を軽減することは可能です。
姿勢のクセは無意識のうちに身についてしまいます。早めに気づき、適切なケアをすることが将来的な痛みや不調を防ぐ第一歩です。
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