四十肩・五十肩――正式名称:肩関節周囲炎。
これは単なる「肩の痛み」ではない。
加齢により関節や周辺組織が炎症を起こし、関節包が癒着して肥厚。
関節そのものの“体積”が減り、肩はガチリと固まってしまう。
改善まで平均1年以上。
痛みが消えても、肩が上がらない・回らないといった
可動域の後遺症が残るケースは非常に多い。
そして、注意すべきは「周囲炎だけではない」ということ。
改善しない例の中には、
● 腱板断裂
● 石灰沈着性腱炎
が紛れ込んでいる。
■ 腱板が壊れると何が起こるのか?
腱板は棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋の4本の腱の複合体。
特に棘上筋は損傷率が高く、傷むと棘下筋にも負担が連鎖し損傷しやすい。
腱板損傷は 自然治癒しない。
ただし「治った気がする」という例は、そもそも検査をしておらず
“腱板損傷に似た別症状だったケース”がほとんど。
■ 石灰沈着性腱炎と “新生血管”
石灰沈着性腱炎は、関節内にカルシウムが蓄積し激痛を生む炎症。
これも自然に治るものではない。
加えて近年注目されるのが 新生血管。
正常な血管から枝分かれした脆い血管で、
漏れた血液中の白血球が炎症を増幅し、
血管沿いの神経が鋭い痛みを増長する。
■ すべての共通点:可動域が奪われる
肩が動かなくなると、連動する胸椎の回旋が止まる。
胸椎の動きが落ちると、上は首、下は腰へと負担が拡大。
腕を上げる動作で腰を反らす“代償動作”が癖になり、
慢性的な腰痛へ移行するリスクも高い。
日常動作はもちろん
野球・テニス・ゴルフなどの回旋スポーツでは致命的なパフォーマンス低下に繋がる。
■ 可動域を広げる方法はストレッチだけではない
ストレッチというと“伸ばす”ことを思い浮かべがちだが、
症状によっては 筋や皮膚をあえて収縮させる方が効果的なケースもある。
ただし、収縮アプローチは専門的な刺激と角度が必要なため、
自己流では悪化させる可能性がある。
肩の痛み・動きの悪さでお悩みの方は、
負担の原因がどこにあるのかを見極めたうえで施術する必要がある。








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