手のしびれ、その正体は「手根管症候群」かもしれない。
手のひらの付け根には「手根管」というトンネルがある。
その中を走るのが“正中神経”。
このトンネルが何らかの原因で狭くなり、神経が圧迫されると──
血流障害が起こり、痛みやしびれとして現れる。
それが 手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん) だ。
なぜトンネルが狭くなるのか?
病気を除けば、最も多いのは 手の使いすぎ。
手首を曲げる・握る・重いものを持つ──そんな動作を繰り返す人ほどリスクが高い。
長期間の圧迫が続くと、親指のつけ根(母指球)が痩せてきて、
物をつまむ、ボタンを留めるといった動作が難しくなることもある。
見落とされがちな原因、それは「筋力バランス」。
多くの人は“使いすぎ”=休ませると考えがちだが、
実は 屈筋(手を握る筋肉)と伸筋(手を開く筋肉) のアンバランスが根底にあるケースも。
屈筋が強くなりすぎると、手根管は常に圧迫状態。
逆に、伸筋をうまく使えると、手根管の圧力は自然に軽減される。
当院では、実際に 伸筋を強化するエクササイズ で改善した例もある。
一例:大工さんのケース
ハンマーを使う仕事では、常に屈筋を酷使する。
結果、伸筋が弱くなり、バランスが崩れる。
このアンバランスは手首だけでなく、前腕 → 肘 → 肩 → 首と
全身の運動連鎖に影響を及ぼす。
すると、肩や首の可動域が狭まり、
手にかかる負担がさらに増えるという“負のループ”に。
だからこそ必要なのは「バランス調整」。
歪みを整えるだけでなく、
筋力バランスそのものをリセットすること。
手根管症候群の根本改善には、
関節・神経・筋力の“3点バランス”が欠かせない。
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