「どこも痛くないし、不調もない。だから自分の体は歪んでない」
そう思っている人、意外と多いのでは?
けれど実際のところ、歪みのない人は一人もいない。
人は生まれつき利き手があり、日常で使う道具もほとんどが利き手仕様。
それに合わせて体の使い方も偏っていくため、筋肉の左右差が自然と生まれる。
筋肉は骨に付着しているので、強い筋肉に引っ張られれば骨はズレたり捻じれたりする。
それが“歪み”の正体だ。
人類の大半が右利きということは、共通した歪みパターンも存在する。
右脚は外旋ぎみ、左脚は内旋ぎみ。
右腕は内旋し、左腕は外旋。
これは、野球やゴルフのスイングを思い浮かべるとわかりやすい。
右から左へクラブを振る動作の中で、自然に生まれる体のねじれだ。
とはいえ、歪みの主役は骨盤だけではない。
その下には“土台”となる足がある。
足には多くの関節があり、地面の凹凸に対応する構造をしている。
つまり、足元が歪めば骨盤も歪む。
どんなに骨盤を整えても、足元がぐらついていては意味がないということだ。
さらに、歪みは上下にも波及する。
下肢のねじれが上肢に伝わることもあれば、頚椎の歪みが腰椎に影響することもある。
関節は連動して動くもの。
ひとつだけが単独で動くことはない。
ここで少し言葉の話を。
「歪み」は“ゆがみ”とも“ひずみ”とも読める。
筆者的には、全体的なバランスの崩れを“ゆがみ”、
一部の関節だけに起きる問題を“ひずみ”と呼んでいる。
全体を整えるのが“ゆがみ”の改善、
一部位の引っかかりを取り除くのが“ひずみ”の解消。
放っておけば、ひずみはやがて全体のゆがみに広がる。
結局のところ、歪みを整えるというのは――
体全体の調和を取り戻すこと。
それが、動きやすく、疲れにくく、しなやかな身体への第一歩なのだ。








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